柳宗理

柳宗理から生まれた機能美、その開発秘話とは?

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柳宗理は、東京美術学校(現:東京藝術大学)を卒業後、
坂倉準三建築研究所を経て、
柳インダストリアルデザイン研究所(現:柳工業デザイン研究会 以下、柳デザイン)を開設します。

その後、東京オリンピックのトーチホルダー、高速道路のトンネル抗口、
橋や歩道橋、自動車、家具、家電、蛇口やマンホール、
雑誌の表紙やゴロマークに至るまで、ありとあらゆるものをデザインしてきました。

そして、数多くの賞も受賞しています。

もちろん、キッチングッズも数多く手がけています。

その洗練された機能美

柳宗理は、民芸品に注目して「用の美」を唱え、
民芸(民藝)運動を起こした、柳宗悦を父に持ちます。

民芸における美は、用に即することによって生まれる「用即美」です。
この「用即美」という考え方が、幼少期より身についていたことでしょう。

柳宗理は、この民芸における美を量産を前提にした工業製品に
ていねいに落とし込んでいきました。

そのため、柳宗理の製品は、使ってみると手にしっくりなじみ使いやすい。

「本当の美は生まれるもので、つくり出すものではない。」
彼のこの言葉には、説得力があります。

そう、その洗練された機能美は、
デザインするプロセスにおいて自然に生み出された形なのです。

いきなり模型

柳宗理は、デザインするプロセスを非常に大切にしています。

「紙と鉛筆だけでは、デザインの基本的発想も、美しい形態も出て来ない。
物を造りながら、試み、考えるということが、デザインする上での
最も有効な基本的態度である。」と彼は考えます。

そのため、柳宗理の製品が生み出される、柳デザインには、
デザイン画の類いは、いっさいありません。

いきなり模型をつくります。それも、手でつくります。

ろくろを使ったり、石膏や木を削ったりと
デザイン事務所というより工房といったほうが良いでしょう。

その手作業でつくった立体模型をたたき台とします。
「手で使うものを、手でつくらないでどうするの?」
という彼の理屈は、単純明快です。

キッチングッズのような道具類は、実物大の模型をつくります。

作った模型を持ったり、振ったり、重ねたりして、
完成品と同じ使い方をしてみます。

不具合があれば、つくりなおして試してみる
鍋の柄などは、長さや太さを微妙に変えて何個もつくり握ってみる、
この繰り返しにより、徹底的に検証していきます。

「モデルをつくるのは、絵や図面を描くより5倍も10倍も大変、
ですから、絵や図面より何倍も考える。」とは、
柳デザインのスタッフの言葉です。

それでも、図や数値で説明するより話が早いと
メーカーとのやり取りにおいては、助かったようです。

ただ、何度もモデルをつくって検証する工程を経るわけですから
開発には、1~2年かかってしまっていたようです。

デザイナーに欠かせない存在とは?

デザイナーに欠かせない存在。
それは、製造業者、販売業者、消費者です。

デザイナーがいくらいいものをつくったとしても、
買ってくれる消費者がいなければ、世の中に広がりません。

売ってくれる店がなければ、消費者は買えませんし、
量産できる工場がなければ、売ることもできません。

当たり前といえば、当たり前なのですが、
柳宗理は、そのことをよく理解していて、
つくり手と売り手の意見に、しっかり耳を傾けていました。

パスタパン開発秘話。

柳宗理がデザインしたパスタパンは、
コンランダー付で容量6ℓと、パスタを茹でるのに最適な鍋です。

ただ、パスタしか茹でられないのは、もったいない、
外鍋を煮込み鍋としても使いたいと、柳デザイン側は考えました。

鍋本体は、1mm厚の単層ステンレスでした。
しかし、ステンレスは、熱伝導率が低く煮込み鍋の素材としては、適しません。

そこで、2mm厚の3層構造にする提案をしました。

製造メーカーの日本洋食器は、検討を進めていましたが、
販売業者の佐藤商事は、OKを出しませんでした。

重くなる上、非常に高価なものになってしまうからです。

結局、柳デザイン側が折れたそうです。

価格と機能や品質の問題は、非常に難しいです。

ステンレス片手鍋の開発秘話。

ステンレス片手鍋は、雪平鍋に蓋をつけて、改良を加えた鍋です。
(詳細は、「回転させて防止する 柳宗理さんの片手鍋」を参照してください。)

鍋と蓋の隙間なし

両サイドにある大き目の注ぎ口が、
グリップに対して90度より開いた位置にあり、独特な形状をしています。

この形状が曲者で、成形すると鍋の縁が外側に反ってしまい、
製造者泣かせであったようです。

そこで、縁にツバを付けました。
そのことでゆがみにくくなり、さらに、水切れも良くなりました。

モデルの段階では、ツバはなかったのですが、
柳デザイン側は、OKを出し、今の形になったそうです。

よく売れるものは良いデザインであるとは必ずしも言えない。
また、良いデザインは必ずしも良く売れるとは限らない。

そのため、「良いデザインと、良く売れそうなというものの接点を
見出さなければならない。」

このことは、多く方が理解していることであるし、当たり前のことでもあります。

ただ、当たり前のことを当たり前のように行うことは、意外に難しい。

柳宗理は、用途に対して真摯に向き合い、協力者の意見も謙虚に聞きます。
ただ、譲れないことは譲らない。

そのようにしてできた彼の製品は、シンプルでありながら存在感があります。

まとめ

・柳宗理は、キッチングッズだけではなく、ありとあらゆるものをデザインしてきました。

・民芸における美は、用に即することによって生まれる「用即美」です。
 そのことを唱え、民芸(民藝)運動を起こした、柳宗悦を父に持ちます。

・洗練された機能美は、物を造りながら、試み、考えるというプロセスにおいて自然に生み出された形であると考えます。

・キッチングッズに関しては、実物大の模型をつくり、不具合があれば、つくりなおして試してみる、この繰り返しにより、徹底的に検証していきます。

・デザイナーの重要な協力者である、つくり手と売り手の意見に、しっかり耳を傾けます。

・このように用途に対して真摯に向き合い、生み出された製品は、シンプルでありながら存在感があります。

私が使っているのは

私が使っている柳宗理の商品は、次のものです。
「安心の使いやすさ、柳宗理のトング」 
「美しさには理由があった、柳宗理のレードル」 
「持ちやすく、注ぎやすい柳宗理のケトル」 
「回転させて防止する 柳宗理の片手鍋」 
「無駄をそぎ落とした機能美 柳宗理のボウル・ストレーナー」

 

ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。
わからないことがあれば、お気軽にお問い合わせください。
それでは、「柳宗理から生まれた機能美、その開発秘話とは?」の記事でした。

 

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